日本では出生率が低下し続けていて、このままでは人口減少の加速に歯止めがかからないということで、対策が急務となっています。特に男性の育児休暇取得の推進するために、今年4月から改正「育児・介護休業法」が成立、順次施行されています。まずは男女ともに仕事と育児を両立できるよう、新たに「産後パパ育休制度」が創設され、令和4年10月より施行されることとなりました。
子育て中やこれから子育てする家族の方にとってはいいニュースです。ただ、これまで男性の育児休暇の取得率はとても低かったことが課題となっており、取らない理由として「職場が忙しくなってしまうから取れない」「取りづらい雰囲気がある」といったことを挙げていた調査は複数あります。では反対に、職場で残される側はいったいどう感じているのでしょうか?
そこでロバ耳編集部では以下の内容でアンケートを実施しました。
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育児休暇を取得した同僚や上司、部下に対して、「迷惑だ」と感じたことがありますか?

ある 16.7%
ない 83.3%
およそ6人に1人が「感じたことがある」と回答しました。
「職場に取りづらい雰囲気がある」と感じてしまう「雰囲気」を作り出している正体は、この6分の1であるという結果でした。これは「育児休暇を取るのを諦めよう」と気を遣うべき数なのでしょうか?もしかすると数の問題ではないのかもしれません。
ただ6人中5人は「感じたことがない」、言い換えると「育児休暇は取って当たり前」と考えているのです。もちろん職場環境や会社の風土によって実態は異なるでしょうが、こうなってくると、「取りづらい雰囲気」という目に見えない敵は、実は案外たいしたことではなかったのではないとも感じられるのではないでしょうか?
「迷惑に感じたことがある」という方は、具体的にどう思っていたのでしょうか? 詳しく尋ねてみました。
しわ寄せが来るのが困る
権利だとは思うが、しわ寄せが来るのは迷惑だから(50代女性)
忙しい時に何やってるんだと思う事がある(40代男性)
給与は変わらないのに、業務が増える。『お互い様』なら良いが、独身や既婚でも子なしの人は、負担ばかり(60代女性)
取得はしてもよいと思うが、続けざまに、一人目妊娠でそのまま産休、会社に復帰しないまま二人目妊娠でそのまま産休、復帰しないまま三人目の産休明けに退職した人がいた。会社で働く他の人間は貴方のATMではありませんと言いたい(50代女性)
頭ではその制度は素晴らしいし必要だと思っていても、実際に増員もなく業務の負担が大きいと迷惑かも、と思う。それは本人のせいではなく会社のせいなのだが…」(40代女性)
もちろん権利なんでいいんですが、その態度が…
当たり前のように悪気無く取る人に対しては人格を少し心配します(40代女性)
他の社員に業務の負担がいっているにも関わらず、当然の権利!適な態度な人が多いから。育休を早く宣言した者勝ち!みたいな感じがあり、常識のある社員はこれ以上周りの業務負担を増やせないと感じ妊活を控えることになってくる。せめて申し訳ないと言動で示せば可愛げがあると感じられるが、前者のような態度の職員の育休は迷惑だと感じる(50代女性)
周囲も当然取得を許可しているし、仕事もカバーしているのに、それに対する感謝を伝えてくるどころか、『他の会社ではこんなこともやってくれている』などど現状以上の権利を主張してくる人がいるため(60代男性)
コメントは大きくこの2種類に分類できました。職場単位で見れば、子供がいないから「お互い様」とは思えずに「不公平だ」と感じる人がいることは当然なので、これは社会全体で、仕事をカバーする人をサポートする制度が必要です。
あとは、取得して当然なんですが、言い方しだい! 権利なので「迷惑をかけてごめんなさい」と、申し訳無さそうにする必要はなく、休む分をカバーしてくれる職場の人たちに対しての感謝の気持ちが伝われば、この問題は自然と解消していくのではないでしょうか。
こう考えると、育児休暇へのハードルは、「制度」と「感謝の気持ち」のみ。これさえ解決できれば、みんなが安心して育休が取れる社会が来るかも? そう希望を持ちながら、政府には「制度」づくりをがんばってもらいたいものです。
■調査概要
調査期間:2022/05/20〜2022/05/25 |
調査方法:インターネット調査 |
調査対象:全国の男女 |
モニター提供元:モラタメ |
調査人数:1,379名 |
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